蓼科の山荘

Mountain cottage in Tateshina

八ヶ岳中信高原国定公園内の、観光道路から少し離れ、樹々に囲まれた静かな傾斜地に立地しています。

敷地は、何か特別な景色が望めることはなく、全ての方向が均質に感じられる場所でした。景観よりもむしろ周囲の道路も含めて一体が一様に傾斜していることが特徴的に感じられました。そのため、敷地に立つと、自然とこの傾斜の中に身を委ね、地形の中で暮らすような別荘の姿が頭に浮かび、等高線がそのまま住宅の中を通る建物がイメージできました。

しかし、床は傾斜と使い勝手に合わせて必要な段差を適宜設ける必要がありました。屋根を平らにすると、地形が変数として媒介されてしまうと思い、傾斜の中に居場所があるという感覚を大事にするために、敷地の傾斜に合わせた勾配の大屋根を架けました。

配置は、全ての方向に等価に引き(斜面と森)を残すために、敷地境界線をオフセットしてガラス張りのメインルームを設け、そこから外に突き出すように寝室や水回りなどの各室(ハウス)を配置しました。建主の家族は両親、長男、長女家族からなる3世帯であり、それぞれが独立したハウスを寝室として使用します。

ハウスをメインルームの内外に出すことは、森と建物の境界線を弱める効果があり、外に出ている小屋の間に木々があることで、自然が近く感じられます。

既存の小屋があり、唯一平らであった場所は、その地形をそのまま受け継ぎ、リビングから連続するテラスとして生かしています。

同じ傾斜の大屋根の下、メインルームの全ての窓からは等価に樹木が望め、樹々の中に住まい、地形の中に居場所を感じることができます。都市と離れた自然の中で、その場所に身体を委ねること、豊かな非日常を楽しむことのできる別荘となりました。

 

 

共同設計:sum design

構造設計:ハシゴタカ建築設計事務所

設備設計:YMO

照明設計:コモレビデザイン

建築施工:三矢工業

所在地
長野県茅野市北山
主要用途
別荘
敷地面積
931.66m2
建築面積
110.55m2
延床面積
156.92m2
構造規模
木造2階建