TENJIN STUDIO

恵比寿ガーデンプレイスの東側に位置する住宅地に建つ、５戸からなる賃貸集合住宅（長屋）。

周囲は戸建住宅や小さな規模のアパートが建ち並んでいる。

敷地の周りには細い路地が多く存在し、路地沿いに植木鉢が置かれたり、洗濯物が干されていたり、採光や通風を得るなど、地域住民の暮らしの振る舞いや、気候に寄り添う生活の豊かさが顕著に現れていました。

私たちは、この建物にも路地を取り入れ、路地を通して住人が街との間に関係性を調整し居場所をつくれるような集合住宅をつくろうと考えました。

３つに分節した建物の間に設けた空地（スリット）は路地のようでもあり、周囲の住宅の建物間の隙間を少し広くしたような空間でもあります。

全ての住戸はスリットに向けて大きな開口を持ち、住人は隣接する住棟の壁に向かって自分の庭のようにオープンに振る舞うことができるし、室内に居てもスリットを介して常外を感じ、街と繋がる開放感が得られます。

このスリットは、住人が出会う場でもなければ、共同利用する場所でもありませんが、住人同士、また住人と街との距離を調整しつつ、この場所で得られる自然（採光・通風・植栽）を享受・共有し、生活を豊かに彩ることを可能にしています。